双極性障害で遡及請求(過去分請求)は可能か
目次
「双極性障害と診断されてから何年も経っています」
「今から申請して、過去の分も受け取れますか?」
「障害認定日頃の調子に波があり、診断書を書いてもらえるか不安です」
双極性障害でも、条件を満たせば障害認定日までさかのぼって障害年金を請求できる可能性があります。ただし、現在の状態だけでなく、障害認定日時点の障害状態を当時の医療記録などで確認できることが重要です。
✅ この記事で分かること
- 双極性障害で遡及請求が認められるための条件
- 障害認定日請求と事後重症請求の違い
- 障害認定日頃の診断書で確認される内容
- 躁・うつの波がある場合の整理方法
- 過去のカルテが少ない場合に確認したい資料
💡 この記事の結論
双極性障害でも遡及請求は可能です。ただし、障害認定日時点で障害等級に該当していたことを、診断書や当時の記録から示す必要があります。認定日が何年前であっても過去分を無制限に受け取れるわけではなく、年金の支払いには時効があるため、原則として受け取れるのは請求時点から過去5年分までです。
双極性障害の遡及請求とは
一般に遡及請求と呼ばれるのは、障害認定日の状態に基づく請求を、認定日から時間が経過した後に行う方法です。
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。その日に障害等級に該当していたと認められれば、障害認定日の翌月分から年金を受給できる可能性があります。
| 請求方法 | 確認する障害状態 | 受給開始時期の考え方 |
|---|---|---|
| 障害認定日による請求(遡及請求を含む) | 障害認定日時点 | 認定日の翌月分から。ただし過去分は時効により原則5年分まで |
| 事後重症による請求 | 請求時点 | 請求日の翌月分から |
現在の症状が重くても、障害認定日当時は等級に該当していなかった場合、過去分は認められず、現在の状態による事後重症請求のみが認められることがあります。
双極性障害で遡及請求を検討する3つの条件
1.初診日と保険料納付要件を確認できる
遡及請求でも、障害年金の基本要件は変わりません。まず、双極性障害または関連する症状について初めて医師の診療を受けた日を確認します。現在の診断名が付いた日や、現在の病院へ転院した日が初診日とは限りません。
初診日に加入していた年金制度によって、障害基礎年金か障害厚生年金かが決まります。また、原則として初診日の前日において保険料納付要件を満たしている必要があります。
2.障害認定日時点で等級に該当していた
双極性障害という診断名だけでは、遡及請求は認められません。障害認定日時点で、躁状態とうつ状態の病相、日常生活能力、家族の援助、就労状況などを総合して、法令上の障害等級に該当していたことが必要です。
3.認定日当時の状態を資料で確認できる
障害認定日から1年以上経過して請求する場合は、一般に障害認定日頃の状態を示す診断書と、請求時点の状態を示す診断書が必要です。認定日当時の医療機関にカルテが残っているか、まず確認しましょう。
双極性障害の遡及請求が難しくなりやすい理由
診察日の状態だけでは病相の全体像が見えにくい
双極性障害には躁・軽躁状態とうつ状態の波があります。障害認定日頃の診察時に一時的に会話ができていたとしても、生活全体が安定していたとは限りません。
一方、認定日付近に強いうつ状態があっただけで、直ちに等級が決まるわけでもありません。病相の期間や頻度、治療経過、日常生活への継続的な影響を確認する必要があります。
躁状態が「元気に働けていた時期」と見えることがある
躁・軽躁状態では、活動量が増え、一見すると仕事ができているように見えることがあります。しかし実際には、睡眠時間の減少、過剰な業務、浪費、判断力低下、対人トラブルが生じ、その後のうつ状態で欠勤や休職に至るケースもあります。
勤務していた事実を隠すのではなく、勤務時間、欠勤・休職、担当業務、職場の配慮、その後の病状悪化まで時系列で整理することが大切です。
過去のカルテに生活状況が詳しく残っていないことがある
診療記録に症状や薬の内容は残っていても、食事、入浴、金銭管理、対人関係、家族の援助まで詳しく記録されていない場合があります。後から本人の希望どおりに診断書を書いてもらえるわけではありません。
当時の診療録を基礎に、入退院記録、休職・復職の記録、勤務状況、家族が把握している生活経過など、客観的に確認できる事実を整理します。
障害認定日当時の状態を整理するポイント
- 躁・軽躁・うつの各病相がいつからいつまで続いたか
- 入院、救急受診、服薬変更、通院頻度の変化
- 食事、入浴、掃除、金銭管理に必要だった援助
- 浪費、契約、借入れ、対人トラブルの有無
- 欠勤、遅刻、休職、退職、業務変更の時期
- 家族や職場が行っていた見守り・声かけ・配慮
病歴・就労状況等申立書では、単に「つらかった」「何もできなかった」と書くのではなく、何にどのような援助が必要だったかを具体化します。診断書、申立書、就労記録の時期や内容に食い違いがないことも重要です。
双極性障害の遡及請求を考えるケース例
次の例は、考え方を説明するための一般的な例です。実際の認定結果は個別の資料と審査によって異なります。
ケース1.認定日頃に休職し、家族の援助を受けていた
障害認定日頃にうつ状態で休職し、食事や服薬、金銭管理を家族に任せていたケースです。当時のカルテや休職記録に経過が残っていれば、認定日時点の請求を検討できる可能性があります。
ケース2.認定日頃は一時的に就労していた
認定日頃に働いていても、それだけで遡及請求ができないとは限りません。ただし、安定した一般就労だったのか、欠勤や業務制限、周囲の配慮があったのかを確認します。躁状態で活動量が増えていた場合は、その後の反動も含めた経過が重要です。
ケース3.認定日頃のカルテが残っていない
当時の医療機関が廃院している、またはカルテが廃棄されている場合、認定日当時の障害状態を証明することが難しくなります。別の医療機関の記録や客観資料を確認しますが、資料があれば必ず遡及請求が認められるわけではありません。
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遡及請求を始める前に確認したい順番
- 初診日を整理する:最初の受診先、受診時の症状、転院歴を確認します。
- 保険料納付要件を確認する:診断書を依頼する前に年金記録を確認します。
- 障害認定日を特定する:原則として初診日から1年6か月後の日を確認します。
- 当時の医療記録を確認する:診断書を作成できるか医療機関へ相談します。
- 生活・就労経過を整理する:病相と援助、欠勤・休職などを時系列にします。
先に診断書を取得してから初診日や請求方法を見直すと、書類の取り直しが必要になる場合があります。特に通院歴が長い方は、書類を依頼する前の整理が重要です。
双極性障害の遡及請求サポート料金
秋葉原・神田障害年金申請サポートでは、社会保険労務士の佐々木淳が、初診日、障害認定日、当時と現在の生活状況を確認したうえで申請を支援します。
| サポート内容 | 料金 |
|---|---|
| 裁定請求サポート | 事務手数料20,000円(税抜)+成果報酬(①年金2ヶ月分〈加算含む〉②13万円のいずれか高い方) ※遡及申請の場合は①または②に+遡及分の10% |
※料金は税抜表示です。診断書等の実費は別途必要です。詳しい条件は障害年金申請のサポート料金をご確認ください。
双極性障害の遡及請求でよくあるご質問
Q1.双極性障害なら何年前まででも遡及請求できますか?
請求自体を検討できても、過去分の支払いは原則5年分までです。障害認定日が5年以上前であっても、時効によりそれ以前の年金は受け取れないのが原則です。資料の保存期間もあるため、早めに確認することをおすすめします。
Q2.現在の診断書だけで過去分も請求できますか?
障害認定日から長期間経過した請求では、通常、現在の診断書だけでは足りません。障害認定日頃の状態を示す診断書も必要です。当時の医療機関で作成可能か、診療録が残っているかを確認します。
Q3.障害認定日頃に働いていたら遡及請求は無理ですか?
働いていた事実だけで直ちに不可能とはいえません。勤務時間、仕事内容、欠勤、休職、職場の配慮、仕事以外の日常生活を総合して判断されます。ただし、配慮のない安定就労が続いていた場合は、障害状態の評価に影響する可能性があります。
Q4.認定日が躁状態の時期でも請求できますか?
躁状態であったことだけで可否は決まりません。過活動、睡眠減少、浪費、判断力低下、対人トラブルなどが生活や仕事に与えた影響と、その前後の病相を含めて確認します。
Q5.当時はうつ病と診断され、後に双極性障害へ変わりました
診断名が変わった日が当然に初診日や起算点になるわけではありません。うつ病と双極性障害が一連の傷病として扱われるかは、受診経過や医学的な関連性を踏まえて個別に判断されます。最初の受診から経過を整理する必要があります。
Q6.当時の医師が現在の病院にいなくても診断書は取れますか?
医師が退職していても、医療機関に診療録が残っていれば作成を相談できる場合があります。ただし、診療録の内容によっては作成できないこともあります。まず医療機関へ保管状況を確認しましょう。
Q7.遡及請求と事後重症請求を同時に出せますか?
障害認定日による請求と、認定日が認められなかった場合に備えた事後重症請求をあわせて手続きすることがあります。必要書類や請求書の記載が異なるため、どの方法で提出するかは事前に年金事務所や専門家へ確認してください。
双極性障害の遡及請求では、現在の状態だけでなく、何年も前の障害認定日当時の状態を資料から再構成する必要があります。自己判断で診断書を依頼する前に、初診日と認定日、当時の通院先を整理しましょう。
秋葉原・神田障害年金申請サポートは、千代田区・台東区・文京区をはじめ、Zoom・電話・LINE・メールで全国からご相談を受け付けています。まずは一度、お気軽にご相談ください。
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