知的障害の障害年金|1級・2級認定の目安(IQ・生活能力)
目次
「IQが50以下なら、障害年金2級になる?」
「軽度知的障害でも障害年金を受給できる?」
「食事や着替えはできるので、2級は難しい?」
知的障害の障害年金について調べると、IQの数値を基準にした説明を目にすることがあります。しかし、障害年金の1級・2級は、IQだけで自動的に決まるものではありません。
IQや療育手帳の等級も参考にされますが、実際の審査では、食事、身辺の清潔保持、金銭管理、意思疎通、危険への対応などについて、どの程度の援助を必要としているかが総合的に確認されます。
✅ この記事で分かること
- 知的障害で障害年金1級・2級となる目安
- IQ35・IQ50などの数値と認定結果の関係
- 日常生活能力で確認されるポイント
- 家族と同居している場合の評価方法
- 働いている場合に確認される職場の援助や配慮
- 診断書を依頼する前に整理したい情報
💡 この記事の結論
知的障害の障害年金は、IQだけでなく、日常生活における援助の必要性を中心に判断されます。
1級は、食事や身辺の清潔保持などに全面的な援助が必要で、意思疎通も著しく困難であり、常時の援助が必要な状態が目安です。2級は、基本的な日常生活にも援助が必要で、意思疎通が簡単な内容に限られるなど、日常生活に著しい制限がある状態が目安です。
「IQが50以下なら必ず2級」「IQが35以下なら必ず1級」という一律の基準はありません。IQが比較的高くても、実際の生活で継続的な援助が必要であれば2級が検討される可能性があります。
知的障害の障害年金1級・2級の認定基準
知的障害は、障害年金では「精神の障害」として審査されます。知的障害が出生時または幼少期から認められる場合は、20歳前傷病による障害基礎年金として請求することが一般的です。
障害基礎年金には1級と2級があり、3級はありません。したがって、障害状態が2級以上に該当しなければ、20歳前傷病による障害基礎年金は支給されません。
| 等級 | 認定状態の目安 | 生活状況の例 |
|---|---|---|
| 1級 | 日常生活に常時の援助が必要 | 食事や身辺の清潔保持に全面的な援助が必要で、意思疎通ができないか著しく困難 |
| 2級 | 日常生活に著しい制限があり、援助が必要 | 食事や身辺の清潔保持などの基本的な行為に援助が必要で、意思疎通が簡単な内容に限られる |
知的障害で1級となる目安
1級は、日常生活のほぼ全般にわたり、常時かつ具体的な援助を必要とする状態が中心です。
- 食事を自分で適切に取ることが難しく、全面的な介助が必要
- 着替え、入浴、排せつ、清潔保持などに全面的な援助が必要
- 自分の意思や体調を周囲へ伝えることができない、または著しく難しい
- 危険を理解できず、常に見守りが必要
- 家族や支援者が離れると、日常生活を維持できない
一部の動作を自分で行える場合でも、声かけ、誘導、確認、やり直し、見守りが常時必要であれば、その援助を含めて判断することが重要です。
知的障害で2級となる目安
2級は、すべての動作に全面介助が必要とまではいえなくても、日常生活に著しい制限があり、継続的な援助を必要とする状態が中心です。
- 食事の準備や栄養管理ができず、家族が用意している
- 入浴、着替え、歯磨きなどに声かけや確認が必要
- 金銭の価値や契約内容を十分に理解できず、家族が管理している
- 通院予約、服薬管理、行政手続きを一人で行えない
- 複雑な説明を理解できず、意思疎通が簡単な内容に限られる
- 予定変更や予期しない出来事に対応できず、支援者の介入が必要
- 一人で安全に外出したり、交通機関を利用したりすることが難しい
身の回りのことを部分的に行えていても、適切な内容で、毎日、繰り返し、安全に行えるかが重要です。「一度できたことがある」というだけでは、自立してできると評価できない場合があります。
知的障害の障害年金はIQで決まる?
知的障害の診断や程度を確認するうえで、IQは重要な資料です。しかし、障害年金の認定基準では、知能指数だけでなく、日常生活においてどの程度の援助が必要かを考慮するとされています。
「IQ50以下なら2級」とは限らない
障害年金の等級判定ガイドラインでは、療育手帳の判定が中度以上、または知能指数がおおむね50以下の場合、1級または2級の可能性を検討する考え方が示されています。
ただし、IQが50以下であっても、必ず1級・2級になるわけではありません。身辺処理、金銭管理、意思疎通、安全保持、就労状況などを含めて総合的に判断されます。
IQが50を超えていても2級の可能性はある
軽度知的障害と診断されている方や、IQが50を超えている方でも、直ちに障害年金の対象外になるわけではありません。
例えば、IQの数値は比較的高くても、次のような事情がある場合は、実際の日常生活上の制限を丁寧に確認する必要があります。
- 金銭管理や買い物を一人で行うと、繰り返しトラブルになる
- 契約、行政手続き、通院手続きを家族がすべて代行している
- 対人関係のトラブルや不適応行動が多く、常時支援が必要
- 一人で生活することが難しく、家族の援助に依存している
- 働いていても、単純作業に限定され、常時の指示や見守りを受けている
IQが低くても1級が自動的に認定されるわけではない
IQが35以下など低い数値であっても、それだけで1級が確定するわけではありません。
1級では、IQの数値に加えて、食事や身辺の清潔保持に全面的な援助が必要か、意思疎通が著しく困難か、日常生活に常時の介助や見守りが必要かなどが確認されます。
等級審査で確認される日常生活能力
知的障害の障害年金では、診断書に記載される日常生活能力が重要な判断材料となります。主に、次のような生活場面について確認します。
| 確認項目 | 確認される内容の例 |
|---|---|
| 食事 | 献立、調理、適量の判断、栄養管理、食後の片付けを継続して行えるか |
| 清潔保持 | 入浴、着替え、洗濯、掃除、身だしなみを適切に保てるか |
| 金銭管理・買い物 | 予算管理、釣り銭、支払い、契約、不要な購入を判断できるか |
| 通院・服薬 | 予約、受診、症状の説明、薬の管理を一人で行えるか |
| 意思疎通・対人関係 | 相手の説明を理解し、自分の意思を伝え、適切な関係を保てるか |
| 安全保持・危機対応 | 事故、災害、体調不良、詐欺などの危険を判断し、助けを求められるか |
| 社会生活 | 時間や予定の管理、交通機関の利用、行政手続きなどを行えるか |
家族と同居している場合は援助の内容が重要
家族と同居していること自体が、不利になるわけではありません。ただし、家族が日常的に行っている支援が診断書や申立書に反映されていないと、実際よりも自立しているように受け取られる可能性があります。
例えば、「毎日食事を取れている」という結果だけでなく、家族が献立を考え、調理し、食事を促し、食べた量を確認しているといった過程を整理します。
本人が一人で生活すると仮定した場合に、何ができなくなり、どのような援助が必要になるのかを確認することが大切です。
働いている場合も障害年金を受給できる可能性がある
働いていることだけを理由に、障害年金の対象外になるわけではありません。
就労している場合は、次のような点が確認されます。
- 一般雇用、障害者雇用、就労継続支援などの雇用・通所形態
- 単純作業や反復作業に業務が限定されているか
- 上司や支援者から常時の指示、確認、見守りを受けているか
- 勤務時間や日数が短縮されているか
- 対人業務、電話対応、金銭管理などを免除されているか
- 欠勤、遅刻、早退、離職を繰り返していないか
- 給与が労働の対価として支払われているか、福祉的な工賃か
職場の配慮や周囲の援助によって勤務が維持されている場合は、配慮がない環境でも同じように働けるとは限りません。勤務先で受けている支援を具体的に整理しましょう。
知的障害の1級・2級認定を考える具体例
ケース1:身辺処理に全面介助が必要な場合
食事、着替え、入浴、排せつなどに全面的な援助が必要で、意思疎通も著しく難しく、常時見守りが必要な場合は、1級が検討される可能性があります。
ケース2:簡単な身辺処理はできても継続的な援助が必要な場合
着替えや食事は声かけがあれば行えるものの、金銭管理、通院、服薬、外出、行政手続きを一人で行えず、家族が日常的に援助している場合は、2級が検討される可能性があります。
ケース3:軽度知的障害で働いている場合
IQが比較的高く、就労していても、業務が単純作業に限定され、常時の指示や見守りが必要で、家庭でも金銭管理や生活管理を家族に依存している場合は、2級の可能性を個別に検討します。
これらは認定結果を保証するものではありません。診断書の内容、日常生活状況、就労状況、支援の程度などによって判断は異なります。
申請前に整理しておきたい資料と生活状況
知的障害の申請では、現在の状態だけでなく、出生から現在までの発達・就学・生活・就労の経過を整理します。
- 知能検査・発達検査の結果
- 療育手帳や障害者手帳の判定資料
- 母子手帳、通知表、学校の記録
- 特別支援学級・特別支援学校の在籍記録
- 個別支援計画、サービス等利用計画
- 就労移行支援、就労継続支援、障害者雇用の記録
- 家族が行っている援助をまとめたメモ
- 過去の就職、退職、休職、職場トラブルの経過
診断書を医師へ依頼するときは、「何ができないか」だけでなく、本人が生活を維持するために、誰が、どのような援助を、どのくらいの頻度で行っているかを伝えることが重要です。
よくあるご質問
Q1. IQが70以上だと障害年金は受給できませんか?
IQが70以上という理由だけで、直ちに対象外になるわけではありません。知的障害の診断、日常生活上の制限、必要な援助、就労状況などを総合的に確認します。
Q2. IQが50以下なら必ず障害年金2級になりますか?
必ず2級になるわけではありません。IQは重要な資料ですが、金銭管理、身辺処理、意思疎通、安全保持、社会生活などに必要な援助を含めて審査されます。
Q3. IQが35以下なら障害年金1級になりますか?
IQだけで1級が決まるものではありません。食事や身辺処理に全面的な援助が必要か、意思疎通が著しく困難か、常時の見守りが必要かなどが確認されます。
Q4. 療育手帳が軽度・B判定でも申請できますか?
療育手帳の判定と障害年金の等級は連動していません。軽度やB判定でも、日常生活に著しい制限があり、継続的な援助が必要であれば申請を検討できます。
Q5. 働いていると障害年金2級は受給できませんか?
働いているだけで不支給になるとは限りません。障害者雇用、福祉的就労、業務の限定、短時間勤務、常時の指導など、どのような支援によって勤務が成り立っているかが重要です。
Q6. 家族と同居していると不利になりますか?
同居していること自体は不利な事情ではありません。家族が行っている食事の準備、金銭管理、通院同行、服薬確認、外出支援などを具体的に示す必要があります。
Q7. いつ社労士へ相談すればよいですか?
主治医へ診断書を依頼する前の相談がおすすめです。特に20歳を迎える前後は、必要書類、受診状況、診断書の対象時期、生活状況の整理を早めに始めましょう。
秋葉原・神田周辺で、知的障害の障害年金申請にお悩みの方へ
知的障害の障害年金では、IQや療育手帳の等級だけでなく、本人が実際の生活でどの程度の援助を必要としているかを、診断書と申立書へ正確に反映する必要があります。
秋葉原・神田障害年金申請サポートでは、社会保険労務士の佐々木 淳が、出生からの経過、日常生活、家族の援助、福祉サービス、就労状況を伺い、申請書類の作成をサポートします。
事務所は東京都千代田区神田美土代町5-2 第2日成ビル3Fにあり、JR神田駅から徒歩7分、JR秋葉原駅から徒歩14分です。来所のほか、Zoom・電話・LINE・メールで全国からご相談いただけます。
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