大人の発達障害|受診状況等証明書が取れないときの対処
目次
「最初に受診した病院へ連絡したら、カルテが残っていないと言われた」
「病院が廃院していて、受診状況等証明書を頼めない」
「大人になって発達障害と診断され、昔の受診先や時期が曖昧になっている」
このような場合でも、受診状況等証明書が取れないという理由だけで、直ちに障害年金を諦める必要はありません。取れない理由を所定の申立書に記載し、受診時期を示す資料や第三者証明などで初診日を確認できる可能性があります。
ただし、成人後の初診日と20歳前の初診日では、使える証明方法の考え方が異なります。資料を集める前に、請求する傷病の初診日候補と受診経過を整理することが大切です。
✅ この記事で分かること
- 受診状況等証明書が必要になる理由
- 証明書を取得できないときの基本的な手順
- 初診日の参考資料として検討できるもの
- 20歳前と20歳以後で異なる第三者証明の扱い
- 大人の発達障害で特に注意したい受診経過の整理方法
💡 この記事の結論
受診状況等証明書が取れなくても、代替資料によって初診日が認められる可能性があります。まず医療機関へ記録の有無を確認し、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成します。そのうえで、紹介状、お薬手帳、診察券、領収書、健康保険の給付記録、第三者証明などを組み合わせます。
本人の記憶や申立書だけで初診日が認められるとは限りません。初診日が20歳前か20歳以後か、当時どの年金制度に加入していたかも確認し、資料同士の整合性を保つことが重要です。
大人の発達障害で受診状況等証明書が必要になる理由
障害年金の初診日とは、原則として、障害の原因となった傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。受診状況等証明書は、初診時の医療機関に、その受診日や治療経過などを証明してもらう書類です。
初診日は、次のような重要事項の基準になります。
- 障害基礎年金と障害厚生年金のどちらを請求するか
- 保険料納付要件をどの時点で確認するか
- 障害認定日がいつになるか
- 20歳前傷病による障害基礎年金に該当するか
現在の医療機関と初診時の医療機関が同じで、診断書によって初診日も確認できる場合など、受診状況等証明書を別途求められないケースもあります。必要書類は請求内容によって異なるため、年金事務所等で確認しましょう。
発達障害の「診断日」と「初診日」は同じとは限らない
大人の発達障害では、成人後にASDやADHDの診断が確定していても、それ以前に対人関係、学校不適応、仕事上の困難、うつ状態などで医療機関を受診していることがあります。
どの受診が発達障害の請求における初診日になるかは、診断名だけでは決まりません。症状の連続性、受診経過、医療記録などを踏まえた個別確認が必要です。詳しくは、大人になって発達障害と診断された場合の初診日の考え方もご覧ください。
受診状況等証明書が取れないときの5つの手順
1. 初診と考える医療機関へ記録の有無を確認する
まずは医療機関へ連絡し、受診状況等証明書を作成できるか確認します。カルテがなくても、受診受付簿、入院記録、電子データなどから証明できる場合があります。
電話をした日、担当部署、回答内容はメモに残してください。廃院している場合は、医療機関名、所在地、診療していた時期を分かる範囲で整理します。
2. 「取れない理由」を具体的に確認する
取得できない主な理由には、カルテ等の診療録が残っていない、医療機関が廃業している、医療機関を特定できないなどがあります。「受診状況等証明書が添付できない申立書」には、取れない理由、確認方法、確認年月日を記載します。
「昔のことだから取れないと思った」と推測で書くのではなく、可能な範囲で医療機関へ実際に確認した結果を記録しましょう。
3. 2番目以降の医療機関に前医の記録がないか確認する
転院先のカルテや紹介状に、前の医療機関名、初診時期、傷病名、治療内容が記載されていることがあります。現在の病院だけでなく、2番目、3番目の医療機関にも次の資料が残っていないか確認します。
- 前医からの紹介状や診療情報提供書
- 初診時の問診票
- カルテに記載された過去の受診歴
- 医療情報サマリー
なお、後の医療機関が「本人から聞いた内容」だけを記載した証明は、それだけで初診日の証明になるとは限りません。記載根拠も確認することが大切です。
4. 初診日を示す客観的な参考資料を集める
日本年金機構の申立書に示されている主な参考資料は、次のとおりです。
| 参考資料 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 診察券・領収書・診療明細 | 医療機関名、診療科、受診日 |
| お薬手帳 | 処方日、医療機関名、薬局名、薬剤 |
| 紹介状・医療情報サマリー | 前医名、受診時期、治療経過 |
| 健康保険の給付記録・レセプト | 受診した年月、医療機関、診療内容 |
| 精神障害者保健福祉手帳と申請時の診断書 | 当時の傷病名、医療機関、受診歴 |
| 母子健康手帳・学校の健康診断記録・成績通知表 | 20歳前の受診や生活・学習上の経過 |
| 生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書 | 傷病名、受診時期、治療経過 |
資料があるだけで必ず初診日が認められるわけではありません。医療機関名と受診年月が分かるか、請求する傷病との関係が読み取れるかが重要です。原本を手元に残し、提出方法は窓口で確認しましょう。
5. 申立書・診断書・病歴を同じ時系列にそろえる
受診状況等証明書が取れない場合は、各資料の整合性が特に重要です。次の内容を一覧にすると、食い違いを見つけやすくなります。
- 医療機関ごとの受診開始・終了時期
- 受診のきっかけと当時の症状
- 紹介・転院の経緯
- 診断名が変わった時期
- 学校、仕事、家庭生活に現れていた支障
年月が曖昧な場合は、根拠なく日付を作らず、「○年春頃」など分かる範囲で整理します。受診していない期間も含めた経過は、大人の発達障害における幼少期からの病歴の書き方で詳しく解説しています。
第三者証明は20歳前と20歳以後で扱いが異なる
第三者証明とは、初診日頃の受診状況を当時見聞きしていた第三者が、その内容を申し立てる書類です。最近、本人や家族から聞いた内容をそのまま書く書類ではありません。
20歳以後に初診日がある場合
20歳以後の初診日では、第三者証明だけで初診日を認めてもらうことはできません。診察券、入院記録、領収書など、本人が申し立てる初診日について客観性のある参考資料との組み合わせが必要です。
また、第三者証明の内容と客観資料から、初診日を合理的に推定できるかが審査されます。「知人が発達特性を知っていた」というだけではなく、いつ、どの医療機関を受診していたことを、どのように知ったかが重要です。
20歳前に初診日がある場合
20歳前初診の場合は、初診時の医療機関による証明を得られないとき、次のような方法が検討されます。
- 2番目以降の医療機関の証明から、一定の条件のもとで20歳前の受診を確認する
- 三親等内の親族ではない第三者2名による証明を提出する
- 当時の受診を直接認識していた医師・看護師等の医療従事者1名による証明を提出する
ただし、20歳前でも、初診当時に厚生年金へ加入していた可能性がある場合などは、同じように扱えないことがあります。詳しくは、発達障害の初診日と20歳前傷病の考え方も確認してください。
受診状況等証明書が取れないときの注意点
自分に有利な初診日を選ばない
障害厚生年金を請求したい、保険料納付要件を満たす時期にしたいという理由で、初診日を選ぶことはできません。請求傷病に関係する最初の受診を、記録と経過に基づいて確認します。
学校や職場への相談日を初診日にしない
学校の相談室、発達支援機関、会社の上司との面談などは、原則として医師または歯科医師の診療ではありません。ただし、相談記録が医療機関の受診時期を確認する手掛かりになる場合はあります。
二次障害の受診を別のものとして切り離さない
成人後に、うつ病、不安障害、適応障害などで先に受診し、その後に発達障害が分かったケースがあります。先行する受診が発達障害の請求における初診日になるかは、症状の連続性や傷病間の関係などによって個別に確認されます。
資料が少なくても先に全体像を整理する
資料が一つも見つからない段階で、申請できないと決めつける必要はありません。受診先候補、受診時期、転院経路、加入していた年金制度を時系列で整理すると、照会先や必要資料が見つかることがあります。
秋葉原・神田障害年金申請サポートでは、千代田区・台東区・文京区をはじめ、全国から初診日のご相談に対応しています。複数の病院を受診していて整理が難しい方も、早い段階でご相談ください。
よくあるご質問
Q1. カルテが廃棄されていたら、障害年金は申請できませんか?
カルテがないだけで、直ちに申請できないとは限りません。「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成し、紹介状、診察券、お薬手帳、領収書、健康保険の給付記録、第三者証明などで初診日を確認できる可能性があります。
Q2. 廃院した病院の受診歴は、どう確認すればよいですか?
まず医療機関名、所在地、受診時期を整理してください。後の医療機関に紹介状や前医の記載が残っていないか、当時の健康保険者に給付記録がないかも確認します。廃院の事実と確認方法は、所定の申立書へ記載します。
Q3. 診察券だけで初診日は認められますか?
診察券だけで必ず認められるわけではありません。日付や診療科が記載されているか、請求傷病との関係を確認できるかが重要です。他の資料や第三者証明と組み合わせて、受診経過全体を示すことが検討されます。
Q4. 家族に第三者証明を書いてもらえますか?
請求者の三親等内の親族は、第三者証明を行えません。友人、隣人、元同僚、民生委員など、当時の受診状況を見聞きしていた方が候補になります。第三者が最近聞いた話ではなく、当時知っていた事実を記載する必要があります。
Q5. 20歳以後の初診日も第三者証明だけで認められますか?
20歳以後の初診日は、第三者証明だけでは足りません。診察券、領収書、入院記録など、初診日について客観性が認められる別の参考資料とあわせて審査されます。
Q6. 初診日が正確に思い出せない場合はどう書けばよいですか?
根拠のない日付を作らず、分かる範囲で記載します。「○年春頃」などの表現も検討し、その根拠となる就職、転居、進学、家族の出来事などと照合します。資料ごとに年月が違う場合は、提出前に理由を確認しましょう。
Q7. 2番目の病院の証明があれば、最初の病院の証明は不要ですか?
一律に不要になるわけではありません。2番目以降の医療機関のカルテや紹介状に前医の受診歴が記録されていれば、有力な資料になる可能性があります。ただし、本人の申立てだけを記載したものは初診日の証明にならない場合があるため、記載根拠も確認します。
受診状況等証明書が取れない場合は、どの資料をどの順番で集めるかによって準備の負担が変わります。秋葉原・神田障害年金申請サポートでは、社会保険労務士の佐々木淳が、受診歴の整理から必要書類の準備まで丁寧にサポートします。
まずは一度、お気軽にご相談ください。

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