大人の発達障害で遡及請求(過去分請求)は可能か

「大人になって発達障害と診断されたけれど、過去分も請求できる?」

「昔から生活や仕事に困っていた場合、何年前まで遡れる?」

「障害認定日当時のカルテが残っていないと申請できない?」

大人の発達障害でも、要件を満たせば障害年金の遡及請求を検討できます。ただし、成人後に診断されたという事実だけで、診断日から過去分を受け取れるわけではありません。

秋葉原・神田障害年金申請サポートでは、社会保険労務士の佐々木淳が、初診日、障害認定日、当時の診療記録を整理し、遡及請求の可能性を確認しています。

✅ この記事で分かること

  • 大人の発達障害で遡及請求を検討できる条件
  • 障害認定日請求と事後重症請求の違い
  • 成人後の診断日と初診日の関係
  • 認定日当時の診断書と生活状況の整理方法
  • 過去分の5年時効とカルテがない場合の注意点

💡 この記事の結論

大人の発達障害でも、障害認定日当時に等級相当の状態だったことを確認できれば、遡及請求が認められる可能性があります。

重要なのは、現在の診断名や現在の困難だけではなく、初診日から原則1年6か月後の障害認定日当時の状態です。当時の診断書を作成できるか、日常生活や就労上の制限を資料間で整合させられるかを確認します。認定されても、実際に支払われる過去分は時効により原則5年分までです。

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大人の発達障害における遡及請求とは

一般に「遡及請求」や「過去分請求」と呼ばれる手続きは、障害認定日にさかのぼって請求する「障害認定日による請求」です。

障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。その時点で障害等級に該当していれば、障害認定日の翌月分から受給権が発生する可能性があります。

請求方法 審査する時点 支給開始の考え方
障害認定日による請求 障害認定日当時 認定されれば原則として認定日の翌月分から。ただし過去分の支払いは原則5年分まで
事後重症による請求 請求時現在 原則として請求日の翌月分から。認定日まで遡るものではない

認定日当時は等級に該当せず、その後に状態が悪化した場合は、事後重症請求を検討します。反対に、認定日当時から強い生活制限があったものの申請していなかった場合は、遡及請求を検討できる可能性があります。

大人の発達障害で遡及請求を検討する4つの条件

1. 発達障害に関係する初診日を確認できる

発達障害は幼少期から特性が現れることがありますが、生まれた日がそのまま初診日になるわけではありません。原則として、その発達障害や関連する症状について初めて医師等の診療を受けた日を確認します。

成人後に発達障害と確定診断された場合でも、それ以前に不安、抑うつ、対人関係の困難などで医療機関を受診していれば、その受診との関係を確認する必要があります。詳しくは、発達障害の障害年金における初診日と20歳前傷病で解説しています。

2. 保険料納付要件を満たしている

原則として、初診日の前日における年金保険料の納付状況を確認します。認定日当時の状態が重くても、納付要件を満たさなければ受給できません。

20歳前の年金未加入期間に初診日がある場合は、保険料納付要件を問いません。ただし、20歳未満でも厚生年金加入中に初診日がある場合など、扱いが異なるケースがあります。

3. 障害認定日当時に等級相当だった

発達障害の診断名や知能指数だけでは決まりません。認定日当時の日常生活能力、社会生活への適応、必要な援助、就労状況などを総合的に確認します。

一人暮らしや一般就労をしていた場合でも、それだけで対象外にはなりません。ただし、家族の援助、職場の配慮、欠勤・遅刻、仕事内容の限定などを具体的に示す必要があります。

4. 認定日当時の状態を資料で確認できる

遡及請求では、原則として障害認定日以後3か月以内の現症が記載された診断書が必要です。請求日が認定日から1年以上後の場合は、請求日前3か月以内の現在の診断書も必要になります。

現在の主治医が数年前の状態を診察していない場合、現在の診断書だけで認定日当時の状態を証明することは困難です。当時通院していた医療機関へ、受診期間とカルテの保存状況を確認しましょう。

遡及請求で伝える発達障害特有の生活・就労状況

発達障害では、外見や短時間の面談だけでは困難が伝わりにくいことがあります。認定日当時について、次のような事実を具体的に整理します。

  • 家族が食事、掃除、服薬、金銭管理を継続して支援していた
  • 予定変更や複数の指示に対応できず、強い混乱が生じていた
  • 対人トラブルや感覚過敏により、通学・通勤の継続が難しかった
  • 遅刻、欠勤、休職、転職を繰り返していた
  • 仕事内容の限定、短時間勤務、個別指導などの配慮があった
  • 仕事はできても帰宅後は疲弊し、生活全般を家族に頼っていた

病歴・就労状況等申立書では、幼少期からの特性だけを長く書くのではなく、障害認定日前後の生活と援助を重点的に整理します。診断書の評価と申立書の具体的事実が食い違わないことも大切です。

大人の発達障害の遡及請求が難しくなりやすいケース

障害認定日当時に受診していない

認定日頃に通院がなく、医学的な記録もない場合は、当時の障害状態を確認することが難しくなります。家族の記憶や職場の資料だけで、所定の診断書に代えられるとは限りません。

当時のカルテが廃棄され、診断書を作成できない

医療機関の廃院やカルテの保存期間経過により、認定日当時の診断書を作成できないケースがあります。初診日の代替資料と、認定日当時の障害状態を示す診断書は役割が異なります。

診断書を作成できなければ遡及請求は難しくなる可能性がありますが、診療録以外の医療記録が残っていないか確認する余地があります。現在の状態が等級相当なら、事後重症請求も併せて検討します。

成人後の診断日を初診日と決めつけている

診断確定日より前に、発達特性や二次障害に関係する受診がある場合があります。反対に、幼少期の小児科受診が発達障害と無関係なら、その日が直ちに初診日になるわけでもありません。

発達障害の二次障害で申請するときの注意点も確認し、受診経過と症状の連続性を整理しましょう。

認定日当時の就労状況だけを見ている

「働いていたから遡及できない」「休職していたから認定される」とは一律に決まりません。仕事内容、勤務の安定性、職場の援助、帰宅後の生活まで含めて判断されます。

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大人の発達障害で過去分請求を考えたら確認する順番

  1. 発達障害や関連症状で受診した医療機関を時系列に並べる
  2. 初診日と当時の加入年金制度を確認する
  3. 障害認定日を特定する
  4. 認定日当時の医療機関へカルテの有無を確認する
  5. 当時の生活、就労、家族・職場の支援を整理する
  6. 診断書を依頼する前に必要な現症日を確認する

年金の過去分には時効があるため、請求が遅れると受け取れない月が増える可能性があります。一方、現症日の指定を誤って診断書を依頼すると、取り直しになることがあります。資料を集める前に、年金事務所や専門家へ確認することが大切です。

秋葉原・神田・千代田区・台東区・文京区・上野周辺の方は来所相談を利用できます。遠方の方もZoom、電話、LINE、メールで全国対応しています。

大人の発達障害の遡及請求に関するよくあるご質問

Q1. 成人後に発達障害と診断されても遡及請求できますか?

成人後の診断でも、遡及請求を検討できる可能性があります。ただし、診断確定日が必ず初診日になるわけではありません。関連する最初の受診を確認し、障害認定日当時に等級相当だったことを資料で示す必要があります。

Q2. 幼少期から特性があれば、20歳まで遡れますか?

特性が幼少期からあるだけで、自動的に20歳まで遡れるわけではありません。初診日、20歳到達時または原則の障害認定日時点の状態、当時の診断書などを確認します。20歳前傷病では請求時期や所得による支給制限にも注意が必要です。

Q3. 遡及請求では何年前まで過去分を受け取れますか?

認定されても、実際に支払われる過去分は時効により原則5年分までです。初診日や発症時から無制限に受け取れるわけではありません。時効により受け取れない月が増える可能性があるため、早めの確認が大切です。

Q4. 現在の診断書だけで過去分も請求できますか?

認定日から1年以上経過している場合、原則として現在の診断書だけでは足りません。認定日当時の診断書と現在の診断書が必要です。当時の医療機関に所定期間の状態を記載できるか確認します。

Q5. 認定日当時に働いていたら遡及請求できませんか?

働いていたことだけで直ちに対象外にはなりません。仕事内容、勤務時間、欠勤・遅刻、職場の配慮や援助、帰宅後の生活状況などを総合的に確認します。

Q6. 当時のカルテがない場合は遡及請求できませんか?

認定日当時の診断書を作成できない場合、遡及請求は難しくなる可能性があります。医療機関に別の診療記録が残っていないかを確認し、現在の状態による事後重症請求も含めて検討します。

Q7. 過去分が認められなければ現在分も不支給になりますか?

過去分が認められなくても、現在の状態で事後重症請求が認められる可能性があります。認定日当時と現在は別の時点として審査されます。ただし、事後重症請求は原則として請求日の翌月分からです。

大人の発達障害の遡及請求は早めに資料を確認しましょう

遡及請求では、現在の困難だけでなく、初診日と障害認定日当時の医療記録が重要です。時間が経つほど、カルテ廃棄や医療機関の廃院により確認が難しくなることがあります。

秋葉原・神田障害年金申請サポートでは、初診日、通院歴、認定日当時の生活・就労状況を整理し、遡及請求と事後重症請求のどちらを検討すべきか一緒に確認します。まずは一度、お気軽にご相談ください。

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