【社労士監修】ペースメーカーでも障害年金は受給できる?条件・等級・申請の注意点を解説

【結論】ペースメーカーを装着している方は、障害年金を受給できる可能性があります。
特に、初診日に厚生年金へ加入していた場合は、障害厚生年金3級に該当する可能性があります。重要なのは、ペースメーカーを装着した事実だけではなく、初診日、加入していた年金制度、心機能の状態、日常生活や就労への制限を正確に整理することです。

この記事が向いている方

・ペースメーカーを装着して障害年金を受給できるか知りたい方
・ICD、CRT、CRT-Dなどを装着している方
・初診日が厚生年金か国民年金か分からず不安な方
・心疾患により仕事や日常生活に制限がある方
・千代田区・台東区・文京区・秋葉原・神田・上野エリアで障害年金に詳しい社労士を探している方

ペースメーカーでも障害年金は受給できる?

ペースメーカーで障害年金を受給できる可能性はあります。障害年金は、医療機器を装着しているかどうかだけではなく、心疾患によって日常生活や労働にどの程度の制限があるかを審査する制度です。

日本年金機構の「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」では、心疾患による障害について、呼吸困難、動悸、浮腫などの臨床症状、心電図などの検査成績、一般状態、治療経過などにより総合的に認定するとされています。

ペースメーカーは障害年金の対象になる

ペースメーカーは、心疾患による障害として障害年金の対象になり得ます。

障害認定基準では、難治性不整脈により「ペースメーカー、ICDを装着したもの」は3級の例示に含まれています。

ただし、「ペースメーカーを装着したから必ず受給できる」という制度ではありません。初診日に加入していた年金制度、保険料納付要件、障害認定日の状態、診断書の内容などが確認されます。

ペースメーカー装着で特に重要になるのは初診日

ペースメーカーの障害年金申請では、初診日が非常に重要です。

初診日とは、ペースメーカー装着の原因となった心疾患や不整脈について、初めて医師の診療を受けた日のことです。

初診日の加入制度

対象となる年金

ペースメーカー装着時の考え方

厚生年金加入中

障害厚生年金

3級に該当する可能性があります

国民年金加入中

障害基礎年金

1級・2級のみのため、3級相当では原則対象外です

20歳前

障害基礎年金

1級・2級に該当するかが審査されます

会社員や公務員として勤務していた時期に初診日がある場合は、障害厚生年金3級の可能性を確認することが大切です。

ペースメーカーとは?障害年金で確認される状態

ペースメーカーとは、脈が遅くなる不整脈などに対して、心臓が適切なリズムで動くよう補助する医療機器です。

障害年金では、「ペースメーカーを入れていること」だけでなく、その原因となった心疾患の内容、装着後の症状、検査所見、日常生活や就労への影響が確認されます。

心疾患で確認されやすい症状

心疾患では、以下のような症状や状態が確認されることがあります。

・動悸
・息切れ
・呼吸困難
・胸痛
・失神
・強い疲労感
・浮腫
・チアノーゼ
・尿量減少
・夜間多尿

障害認定基準では、心疾患の主要症状として、胸痛、動悸、呼吸困難、失神などの自覚症状や、浮腫、チアノーゼなどの他覚所見が示されています。

検査数値や一般状態も確認される

ペースメーカーの障害年金申請では、診断書上の検査所見も重要です。

確認されやすい項目

具体例

心電図

不整脈、徐脈、頻脈など

心エコー

心拡大、弁膜症、収縮能低下など

BNP値

心不全の程度を示す参考値

EF値

左室駆出率。心臓のポンプ機能の参考値

胸部X線

心胸郭比、肺うっ血など

一般状態

身の回りのこと、外出、労働の可否など

障害認定基準では、BNP値、心電図、心エコー、胸部X線、CT、MRI、心カテーテル検査などが検査成績として挙げられています。

日常生活や仕事への影響が重要

ペースメーカーを装着していても、日常生活にほとんど支障がない方もいれば、動悸や息切れ、疲労感、作業制限により生活や仕事に大きな影響が出ている方もいます。

確認される支障

具体例

外出

長距離歩行が難しい、付き添いが必要

家事

掃除、洗濯、買い物で強い疲労が出る

就労

重い物を持てない、長時間勤務が難しい

通院

定期検査や機器チェックが必要

生活管理

医師から運動制限や作業制限を受けている

「ペースメーカーを入れている」という事実に加えて、「装着後もどのような制限が残っているか」を診断書や申立書で伝えることが重要です。

ペースメーカーで障害年金を受給するための3つの要件

ペースメーカーで障害年金を受給するには、原則として「初診日要件」「保険料納付要件」「障害状態要件」の3つを満たす必要があります。

この3つは、障害年金申請の土台になる重要な要件です。どれか1つでも確認が不十分だと、申請が難しくなる場合があります。

1. 初診日が確認できること

初診日とは、ペースメーカー装着の原因となった心疾患や不整脈について、初めて医師の診療を受けた日のことです。

ペースメーカーの場合、最初から循環器内科を受診しているとは限りません。

・健康診断で不整脈を指摘された
・動悸や息切れで内科を受診した
・失神して救急搬送された
・胸痛で医療機関を受診した
・紹介状を持って循環器内科を受診した

初診日は、障害基礎年金か障害厚生年金かを分ける重要な基準になります。

2. 保険料納付要件を満たしていること

障害年金を受けるには、初診日の前日時点で一定の保険料納付要件を満たしている必要があります。

要件

内容

原則

納付済期間と免除期間を合わせて加入期間の3分の2以上

特例

初診日前の直近1年間に未納がないこと

20歳前初診

保険料納付要件は問われない

保険料納付要件は、原則として「初診日の前日」で判断されます。初診日がいつになるかによって結果が変わることがあるため、注意が必要です。

3. 障害認定日または現在の状態が基準に該当すること

障害認定日とは、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。

障害認定日時点で障害等級に該当していれば、障害認定日請求ができる場合があります。一方、障害認定日時点では症状が軽かったものの、その後に悪化した場合は、事後重症請求として申請することがあります。

ペースメーカーの障害年金では、装着日、初診日、障害認定日、現在の状態を整理し、どの時点で請求できるかを確認することが大切です。

ペースメーカーの障害年金の等級目安

ペースメーカーの障害年金では、原因疾患、装着した機器、心機能、日常生活能力、就労状況などを総合的に見て、1級・2級・3級のいずれに該当するかが判断されます。

心疾患の認定基準では、1級は日常生活の用を弁ずることが困難な程度、2級は日常生活に著しい制限がある程度、3級は労働に制限がある程度とされています。

等級

状態の目安

対象となる年金

1級

日常生活のほとんどに常時援助が必要

障害基礎年金・障害厚生年金

2級

日常生活に著しい制限があり、援助や配慮が必要

障害基礎年金・障害厚生年金

3級

労働に制限がある、または労働に制限を加える必要がある

障害厚生年金のみ

1級に該当する可能性がある状態

1級は、心疾患の状態が非常に重く、日常生活のほとんどにおいて常時援助が必要な状態が目安です。

たとえば、身の回りのことも自分では難しく、終日就床を強いられ、活動範囲がおおむねベッド周辺に限られるような状態です。

2級に該当する可能性がある状態

2級は、日常生活に著しい制限がある状態が目安です。

たとえば、身の回りのある程度のことはできても、しばしば介助が必要で、外出が難しい、軽い活動でも息切れや疲労が強い、家事や通院に援助が必要といったケースが考えられます。

ペースメーカー装着のみで2級になるとは限りませんが、心不全症状や検査所見、一般状態によっては2級以上が検討される可能性があります。

3級に該当する可能性がある状態

3級は、障害厚生年金のみの等級です。

障害認定基準では、難治性不整脈によりペースメーカーまたはICDを装着したものは、3級の例示に含まれています。

そのため、初診日に厚生年金へ加入していた方は、ペースメーカー装着により障害厚生年金3級に該当する可能性があります。

ペースメーカーの障害年金で重視される審査ポイント

ペースメーカーの障害年金で重視されるのは、診断書に記載される心機能・検査所見・一般状態と、病歴就労状況等申立書に記載する生活実態の整合性です。

心疾患は、見た目だけでは状態が分かりにくいこともあります。そのため、書類で生活状況や就労制限を具体的に伝える必要があります。

ペースメーカーやICDの装着日

診断書では、ペースメーカー、ICD、CRT、CRT-Dなどの装着日が重要です。

確認される内容は以下のとおりです。

・装着した医療機器の種類
・装着日
・装着の原因となった傷病名
・手術や入院の経過
・装着後の症状
・定期検査や機器チェックの状況

装着日が分かる資料や、手術を受けた医療機関の記録を確認しておくことが大切です。

検査所見と一般状態

心疾患の障害年金では、検査数値と一般状態が重視されます。

確認される内容

具体例

心電図

徐脈性不整脈、頻脈性不整脈など

心エコー

EF値、心拡大、弁膜症など

BNP値

心不全の程度

胸部X線

心胸郭比、肺うっ血など

一般状態

軽労働の可否、外出、就床時間など

一般状態区分では、「肉体労働は制限されるが軽労働や座業はできる」「軽労働はできないが日中の50%以上は起居している」「日中の50%以上は就床している」など、生活全体の状態が確認されます。

就労制限や職場配慮

ペースメーカーを装着している方の中には、仕事を続けていても、業務内容に制限がある方がいます。

・重い物を持つ作業を避けている
・長時間勤務が難しい
・夜勤や残業を制限している
・高所作業や危険作業を避けている
・動悸や息切れで休憩が必要
・配置転換や短時間勤務をしている

このような事情がある場合は、診断書や病歴就労状況等申立書で具体的に伝えることが重要です。

診断書と病歴就労状況等申立書の整合性

診断書は医師が作成する書類で、病歴就労状況等申立書はご本人やご家族が作成する書類です。

この2つの内容に大きなずれがあると、審査で状態が正確に伝わりにくくなることがあります。

たとえば、診断書では「軽労働は可能」とされている一方で、申立書では「ほとんど外出できない」と記載されている場合、実態が判断しづらくなります。

ペースメーカーで働きながら障害年金は受給できる?

ペースメーカーを装着して働いている方でも、障害年金を受給できる可能性はあります。働いていることだけを理由に、必ず不支給になるわけではありません。

ただし、就労状況は審査で重視されます。

働いていても受給できる可能性はある

障害年金では、単に「働いているかどうか」ではなく、「どのような制限や配慮を受けながら働いているか」が確認されます。

特に障害厚生年金3級は、日常生活にほとんど支障がなくても、労働に制限がある状態が対象とされています。

たとえば、以下のような事情がある場合は、働いていても障害状態を丁寧に整理する必要があります。

・短時間勤務である
・欠勤、遅刻、早退が多い
・重い物を持つ業務を外してもらっている
・残業や夜勤を免除されている
・通院や検査のため勤務調整が必要
・医師から運動制限や作業制限を受けている

短時間勤務・職場配慮・欠勤状況の扱い

短時間勤務や職場配慮がある場合、その内容を具体的に整理しましょう。

項目

書類に反映したい内容

勤務時間

週何日、1日何時間働いているか

業務内容

軽作業中心、座り仕事中心など

配慮

重労働免除、残業免除、夜勤免除など

勤怠

欠勤、遅刻、早退、休職歴

支援

上司、同僚、産業医等の配慮

「働いている」という事実だけではなく、「制限や配慮がなければ働き続けられない」事情を伝えることが重要です。

休職中や復職後に申請する場合の注意点

休職中でも、要件を満たせば障害年金を申請できる可能性があります。

ただし、休職していることだけで受給が決まるわけではありません。休職の理由、期間、復職見込み、職場の配慮、休職前後の日常生活の状況などを具体的に整理することが大切です。

復職後に申請する場合も、勤務内容や配慮の有無、欠勤状況などを丁寧に確認しましょう。

ペースメーカーの障害年金はいくらもらえる?

ペースメーカーで障害年金を受給する場合の金額は、障害基礎年金か障害厚生年金か、等級、家族構成、厚生年金加入期間や報酬額によって異なります。

令和8年4月分からの障害基礎年金額は、昭和31年4月2日以後生まれの方で、1級が年額1,059,125円、2級が年額847,300円です。子の加算は、2人目まで1人につき年額243,800円、3人目以降は1人につき年額81,300円です。

障害基礎年金の金額目安

等級

令和8年度の年額目安

1級

1,059,125円+子の加算

2級

847,300円+子の加算

昭和31年4月2日以後生まれの方の金額です。生年月日によって金額が異なる場合があります。

障害厚生年金の金額目安

障害厚生年金は、過去の給与・賞与、厚生年金加入期間、障害等級によって金額が変わります。

等級

金額の考え方

1級

報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級

2級

報酬比例の年金額+障害基礎年金2級

3級

報酬比例の年金額。最低保障額あり

令和8年4月分からの障害厚生年金3級の最低保障額は、昭和31年4月2日以後生まれの方で年額635,500円です。

障害厚生年金は個別計算になるため、「自分の場合はいくらになるか」を正確に知るには、年金記録の確認が必要です。

子の加算・配偶者加給年金について

障害基礎年金では、生計を維持している子がいる場合、子の加算がつくことがあります。

また、障害厚生年金1級または2級に該当し、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が加算されることがあります。

ペースメーカーの障害年金申請で注意すべきこと

ペースメーカーの障害年金申請では、初診日の特定、診断書の内容、病歴就労状況等申立書の作成が重要です。

特に、心疾患は経過が長くなることが多く、初診日がかなり前になるケースもあります。

初診日の特定が難しいケース

ペースメーカーの申請では、初診日が分かりにくいケースがあります。

たとえば、最初は健康診断で不整脈を指摘されただけだったり、動悸やめまいで内科を受診していたりすることがあります。

初診から年数が経過している場合、カルテが残っていないこともあります。その場合でも、以下の資料が手がかりになることがあります。

・受診状況等証明書
・診察券
・紹介状
・お薬手帳
・健康保険の記録
・健康診断の結果
・会社の休職資料
・家族のメモや日記

初診日がずれると、障害基礎年金になるか障害厚生年金になるかが変わることがあります。

診断書に生活実態が反映されにくいケース

ペースメーカーを装着している方は、診察時には問題なく受け答えができても、日常生活では疲れやすい、外出後に寝込む、重い物を持てない、仕事を続けるために大きな配慮を受けているという場合があります。

診断書を依頼する前には、日常生活や仕事で困っていることをメモにまとめ、医師へ具体的に伝えることが大切です。

申立書では日常生活と就労制限を具体的に書く

病歴就労状況等申立書では、症状の経過だけでなく、生活や仕事への影響を具体的に書くことが重要です。

書き方

抽象的

心臓が悪く、仕事が大変だった

具体的

動悸と息切れがあり、重い荷物を持つ作業を外してもらっていた

抽象的

日常生活に支障があった

具体的

買い物後は強い疲労で横になる必要があり、家族が家事を手伝っていた

ペースメーカーの障害年金申請では、装着の事実だけでなく、生活実態が書類に反映されているかどうかが重要です。

関連情報は、症状別障害年金の認定基準もご確認ください。

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よくある質問

Q1. ペースメーカーを入れたら障害年金は必ずもらえますか?

必ずもらえるわけではありません。ペースメーカーやICDを装着した場合、障害厚生年金3級に該当する可能性がありますが、初診日、加入制度、保険料納付要件、診断書の内容などが確認されます。

Q2. ペースメーカーで障害年金3級は受給できますか?

はい、初診日に厚生年金へ加入していた場合は、障害厚生年金3級に該当する可能性があります。障害認定基準では、難治性不整脈によりペースメーカーまたはICDを装着したものが3級の例示に含まれています。

Q3. 初診日が国民年金のとき、ペースメーカーで障害年金はもらえますか?

国民年金には3級がないため、ペースメーカー装着による3級相当だけでは原則として障害基礎年金の対象外です。ただし、心不全症状が重く、日常生活に著しい制限がある場合は、2級以上に該当する可能性を検討します。

Q4. ICDやCRT-Dを装着している場合も障害年金の対象ですか?

はい、対象となる可能性があります。ICDは障害認定基準上、ペースメーカーと同じく難治性不整脈の3級例示に含まれています。CRTやCRT-Dについても、装着理由や心機能、日常生活・就労への制限を確認します。

Q5. 働いていてもペースメーカーで障害年金は申請できますか?

はい、申請できます。特に障害厚生年金3級は、労働に制限がある状態も対象です。重い作業ができない、長時間勤務が難しい、残業や夜勤を免除されているなどの事情は、書類で具体的に整理しましょう。

Q6. ペースメーカーの障害年金はいくらですか?

金額は、障害基礎年金か障害厚生年金か、等級、家族構成、厚生年金加入記録によって異なります。令和8年度の障害基礎年金は、昭和31年4月2日以後生まれの方で2級が年額847,300円、1級が年額1,059,125円です。障害厚生年金3級には最低保障額があります。

Q7. 千代田区・台東区・文京区・秋葉原・神田・上野エリアでペースメーカーの障害年金を相談するならどこがよいですか?

千代田区・台東区・文京区・秋葉原・神田・上野エリアでペースメーカーの障害年金を相談する場合は、心疾患の障害年金に詳しい社会保険労務士へ相談する方法があります。秋葉原・神田障害年金申請サポートでは、初回無料相談を行っており、LINE、電話、オンライン、出張相談にも対応しています。

まとめ|ペースメーカーでも障害年金を受給できる可能性があります

・ペースメーカーは障害年金の対象になる可能性があります
・初診日に厚生年金へ加入していた場合、障害厚生年金3級に該当する可能性があります
・初診日が国民年金の場合は、原則として2級以上に該当する状態かが重要です
・審査では、装着の事実だけでなく、心機能、検査所見、一般状態、就労制限が確認されます
・診断書と病歴就労状況等申立書に生活実態を反映することが大切です

ペースメーカーの障害年金申請では、初診日や加入制度、装着後の生活状況を正確に整理することが重要です。ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

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