【社労士監修】統合失調症でも障害年金は受給できる?条件・等級・申請の注意点を解説

【結論】統合失調症は障害年金の対象です。
幻覚・妄想・意欲低下・対人関係の困難などにより、日常生活や就労に大きな制限がある場合、障害年金を受給できる可能性があります。重要なのは、診断名だけではなく「生活や仕事にどの程度の支障があるか」を書類で正確に伝えることです。

 

この記事が向いている方

・統合失調症で障害年金を受給できるか知りたい方
・幻覚、妄想、意欲低下などにより生活や仕事に支障がある方
・ご本人だけでの申請が難しく、ご家族が相談先を探している方
・働きながら障害年金を受給できるか知りたい方
・千代田区・台東区・文京区・秋葉原・神田・上野エリアで障害年金に詳しい社労士を探している方

統合失調症でも障害年金は受給できる?

統合失調症で障害年金を受給できる可能性はあります。障害年金は、病名そのものではなく、病気によって日常生活や就労にどの程度の制限があるかを審査する制度です。

日本年金機構は、障害年金の認定にあたり「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」や「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」等を公表しています。精神の障害については、原因、症状、治療、病状の経過、具体的な日常生活状況などを総合的に認定するとされています。

統合失調症は障害年金の対象になる

統合失調症は、精神の障害として障害年金の対象になり得る病気です。

ただし、「統合失調症と診断されたから必ず受給できる」という制度ではありません。審査では、症状の程度、通院・服薬状況、入院歴、日常生活能力、就労状況、家族や支援者の援助状況などが確認されます。

そのため、申請では「病名」だけではなく、「生活の中で何が、どの程度できないのか」を具体的に整理することが重要です。

診断名だけでなく生活や就労への支障が重要

障害年金の審査で重視されるのは、統合失調症によって日常生活や仕事にどのような制限があるかです。

確認されやすい支障

具体例

食事

自分で準備できない、家族の声かけが必要

清潔保持

入浴、着替え、洗面が継続できない

通院・服薬

服薬管理ができない、通院に付き添いが必要

対人関係

人との会話や外出が難しい

金銭管理

衝動的な支出、金銭管理の困難

就労

欠勤、休職、短時間勤務、職場配慮が必要

症状が外から見えにくい場合でも、実際の生活に大きな支障があれば、障害年金の申請を検討する余地があります。

統合失調症とは?障害年金で確認される症状

統合失調症では、幻覚・妄想などの症状だけでなく、意欲低下、感情表現の乏しさ、認知機能の低下、対人関係の困難などが生活全体に影響することがあります。

厚生労働省は、統合失調症の主な陽性症状として幻覚、妄想、考えの混乱を挙げています。また、陰性症状として、意欲低下、感情が表に出にくくなること、人との関わりを避けて閉じこもることなどを説明しています。

幻覚・妄想などの陽性症状

陽性症状とは、幻覚や妄想など、本来ないものを知覚したり、現実とは異なる内容を強く信じ込んだりする症状をいいます。

たとえば、次のような状態です。

・他の人には聞こえない声が聞こえる
・誰かに見張られていると感じる
・悪口を言われていると思い込む
・周囲の出来事がすべて自分に関係していると感じる
・強い不安や警戒心が続く

このような症状が続くと、外出、通院、買い物、仕事、人との会話などが大きな負担になることがあります。

意欲低下・感情の平板化などの陰性症状

陰性症状とは、意欲や感情表現、活動性などが低下する症状をいいます。

障害年金の申請では、幻覚や妄想のような目立つ症状だけでなく、陰性症状による生活上の困難も重要です。

陰性症状の例

生活への影響

意欲低下

起床、食事、入浴ができない

感情の平板化

会話や対人交流が難しい

自発性の低下

声かけがないと行動できない

引きこもり

外出や通院が困難

疲れやすさ

家事や仕事が継続できない

統合失調症では、「何もできない状態」「自分から動けない状態」も審査上重要なポイントになります。

認知機能や対人関係への影響

統合失調症では、集中力、記憶力、判断力、段取りを考える力に影響が出ることがあります。

その結果、予定を忘れる、服薬管理ができない、買い物で混乱する、職場で指示を理解しにくいといった困りごとが生じる場合があります。

障害年金では、このような日常生活能力や社会生活能力への影響も確認されます。

統合失調症で障害年金を受給するための3つの要件

統合失調症で障害年金を受給するには、原則として「初診日要件」「保険料納付要件」「障害状態要件」の3つを満たす必要があります。

この3つは、障害年金申請の土台になる重要な要件です。どれか1つでも確認が不十分だと、申請が難しくなる場合があります。

1. 初診日が確認できること

初診日とは、統合失調症の原因となった症状について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことです。

統合失調症の場合、最初から精神科を受診しているとは限りません。

・不眠や不安で内科を受診した
・強い緊張や体調不良で心療内科を受診した
・家族に勧められて精神科を受診した
・幻聴や妄想が出て救急受診や入院につながった

初診日は、障害基礎年金か障害厚生年金かを分ける重要な基準になります。

2. 保険料納付要件を満たしていること

障害年金を受けるには、初診日の前日時点で一定の保険料納付要件を満たしている必要があります。

日本年金機構では、障害基礎年金について、初診日のある月の前々月までの公的年金加入期間のうち、3分の2以上が納付済または免除であること、または初診日前の直近1年間に未納がないことなどを要件として示しています。20歳前に初診日がある場合、保険料納付要件は問われません。

要件

内容

原則

納付済期間と免除期間を合わせて加入期間の3分の2以上

特例

初診日前の直近1年間に未納がないこと

20歳前初診

保険料納付要件は問われない

保険料納付要件は、原則として「初診日の前日」で判断されます。初診日がいつになるかによって結果が変わることがあるため、注意が必要です。

3. 障害認定日または現在の状態が基準に該当すること

障害認定日とは、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。

障害認定日時点で障害等級に該当していれば、障害認定日請求ができる場合があります。一方、障害認定日時点では症状が軽かったものの、その後に重くなった場合は、事後重症請求として申請することがあります。

統合失調症は経過が長くなることも多いため、「いつから、どのような症状があり、生活や仕事にどのような支障が出ていたか」を整理することが大切です。

統合失調症の障害年金の等級目安

統合失調症の障害年金では、日常生活能力、就労状況、援助の必要性などを総合的に見て、1級・2級・3級のいずれに該当するかが判断されます。

精神の障害に関する認定基準では、日常生活の用を弁ずることができない程度を1級、日常生活に著しい制限がある程度を2級、労働に著しい制限がある程度を3級などと整理しています。

等級

状態の目安

対象となる年金

1級

日常生活のほとんどに常時援助が必要

障害基礎年金・障害厚生年金

2級

日常生活に著しい制限があり、援助や配慮が必要

障害基礎年金・障害厚生年金

3級

労働に著しい制限がある

障害厚生年金のみ

1級に該当する可能性がある状態

1級は、日常生活のほとんどにおいて常時援助が必要な状態が目安です。

たとえば、食事、清潔保持、服薬、金銭管理、外出、安全確保などを自分で行うことが難しく、家族や支援者の継続的な援助が必要な場合です。

2級に該当する可能性がある状態

2級は、日常生活に著しい制限がある状態が目安です。

一人暮らしが難しい、家族の声かけがないと生活リズムが保てない、通院や服薬に援助が必要、対人関係が困難で社会生活に大きな支障がある、といったケースが考えられます。

統合失調症の障害年金では、2級に該当するかどうかのご相談が多くあります。

3級に該当する可能性がある状態

3級は、障害厚生年金のみの等級です。

日常生活は一定程度できていても、仕事に著しい制限がある場合に検討されます。

たとえば、短時間勤務、業務内容の大幅な制限、障害者雇用での配慮、欠勤や休職の多さ、職場での継続的な支援がある場合などです。

統合失調症の障害年金で重視される審査ポイント

統合失調症の障害年金で重視されるのは、診断書に記載される日常生活能力と、病歴就労状況等申立書に記載する生活実態の整合性です。

特に精神の障害では、症状が外から見えにくいため、書類で生活状況を具体的に伝える必要があります。

日常生活能力の判定

精神の障害用診断書では、日常生活能力に関する項目が確認されます。

主な確認項目は以下のとおりです。

・適切な食事
・身辺の清潔保持
・金銭管理と買い物
・通院と服薬
・他人との意思伝達・対人関係
・身辺の安全保持・危機対応
・社会性

医師に診断書を依頼する前に、普段の生活で困っていることをメモにまとめて伝えることが大切です。

通院・服薬・入院歴

統合失調症の申請では、治療の継続状況も重要です。

以下のような情報は、障害状態を判断する材料になります。

確認される内容

具体例

通院状況

通院頻度、通院の付き添いの有無

服薬状況

服薬管理ができるか、副作用の有無

入院歴

入院の有無、期間、回数

症状の経過

幻覚、妄想、陰性症状の変化

支援状況

家族、訪問看護、福祉サービスの利用

家族や支援者の援助状況

統合失調症では、ご本人が困りごとを十分に説明できないことがあります。

そのため、家族や支援者から見た生活状況も重要です。

・食事や服薬の声かけをしている
・金銭管理を家族が行っている
・通院に付き添っている
・対人トラブルを家族が調整している
・症状悪化時に安全確保をしている

このような援助がある場合は、病歴就労状況等申立書に具体的に記載することが大切です。

診断書と病歴就労状況等申立書の整合性

診断書は医師が作成する書類で、病歴就労状況等申立書はご本人やご家族が作成する書類です。

この2つの内容に大きなずれがあると、審査で状態が正確に伝わりにくくなることがあります。

たとえば、診断書では「日常生活はおおむね自立」とされている一方で、申立書では「ほとんど何もできない」と記載されている場合、実態が判断しづらくなります。

統合失調症で働きながら障害年金は受給できる?

統合失調症で働きながら障害年金を受給できる可能性はあります。働いていることだけを理由に、必ず不支給になるわけではありません。

ただし、就労状況は審査で重視されます。

働いていても受給できる可能性はある

障害年金では、単に「働いているかどうか」ではなく、「どのような配慮を受けながら、どの程度働けているか」が確認されます。

たとえば、以下のような事情がある場合は、働いていても障害状態が重いと判断される可能性があります。

・短時間勤務である
・欠勤、遅刻、早退が多い
・障害者雇用で働いている
・業務内容を大きく制限してもらっている
・対人業務を避けてもらっている
・上司や支援者のサポートが常に必要
・休職と復職を繰り返している

障害者雇用・短時間勤務・職場配慮の扱い

障害者雇用や短時間勤務の場合、職場の配慮内容を具体的に整理しましょう。

項目

書類に反映したい内容

勤務時間

週何日、1日何時間働いているか

業務内容

単純作業中心、責任の軽い業務など

配慮

残業免除、対人業務の制限、休憩配慮

勤怠

欠勤、遅刻、早退、休職歴

支援

上司、同僚、ジョブコーチ等の支援

「働いている」という事実だけではなく、「配慮がなければ働き続けられない」事情を伝えることが重要です。

仕事が続かない場合の伝え方

統合失調症では、就職できても長く続かないケースがあります。

この場合、職歴を単に並べるだけではなく、退職理由や勤務継続が難しかった理由を具体的に記載することが大切です。

たとえば、対人関係の不安、被害的な考え、疲労感、指示理解の困難、欠勤増加、症状悪化による退職などが考えられます。

統合失調症の障害年金はいくらもらえる?

統合失調症で障害年金を受給する場合の金額は、障害基礎年金か障害厚生年金か、等級、家族構成、厚生年金加入期間や報酬額によって異なります。

令和8年4月分からの障害基礎年金額は、昭和31年4月2日以後生まれの方で、1級が年額1,059,125円、2級が年額847,300円です。子の加算は、2人目まで1人につき年額243,800円、3人目以降は1人につき年額81,300円です。

障害基礎年金の金額目安

等級

令和8年度の年額目安

1級

1,059,125円+子の加算

2級

847,300円+子の加算

※昭和31年4月2日以後生まれの方の金額です。生年月日によって金額が異なる場合があります。

障害厚生年金の金額目安

障害厚生年金は、過去の給与・賞与、厚生年金加入期間、障害等級によって金額が変わります。

令和8年4月分からの障害厚生年金について、日本年金機構は、1級は報酬比例の年金額の1.25倍、2級は報酬比例の年金額、3級は報酬比例の年金額を基本とする仕組みを案内しています。3級には最低保障額が設けられています。

等級

金額の考え方

1級

報酬比例の年金額×1.25+障害基礎年金1級

2級

報酬比例の年金額+障害基礎年金2級

3級

報酬比例の年金額。最低保障額あり

障害厚生年金は個別計算になるため、「自分の場合はいくらになるか」を正確に知るには、年金記録の確認が必要です。

子の加算・配偶者加給年金について

障害基礎年金では、生計を維持している子がいる場合、子の加算がつくことがあります。

また、障害厚生年金1級または2級に該当し、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者加給年金が加算されることがあります。日本年金機構は、令和8年4月分からの障害厚生年金の配偶者加給年金額を243,800円と案内しています。

統合失調症の障害年金申請で注意すべきこと

統合失調症の障害年金申請では、初診日の特定、診断書の内容、病歴就労状況等申立書の作成が重要です。

特に統合失調症は、症状の経過が長く、転院や入院を経験している方も多いため、過去の受診歴を丁寧に確認する必要があります。

初診日の特定が難しいケース

統合失調症では、初診日が分かりにくいケースがあります。

たとえば、最初は不眠、不安、体調不良、対人トラブルなどで別の診療科を受診していることがあります。

また、初診から年数が経過している場合、カルテが残っていないこともあります。

その場合でも、以下の資料が手がかりになることがあります。

・受診状況等証明書
・診察券
・紹介状
・お薬手帳
・健康保険の記録
・入院記録
・家族のメモや日記

本人が申請を進められない場合

統合失調症では、ご本人が症状や生活上の困難を十分に認識できない場合があります。

また、書類の準備、医療機関への確認、年金事務所とのやり取りが大きな負担になることもあります。

このような場合は、ご家族や支援者が受診歴や生活状況を整理し、必要に応じて社会保険労務士に相談することも選択肢の一つです。

申立書では生活実態を具体的に書く

病歴就労状況等申立書では、症状の経過だけでなく、生活への影響を具体的に書くことが重要です。

書き方

抽象的

症状が重く、生活が大変だった

具体的

幻聴が強く外出できず、買い物や通院は母が付き添っていた

抽象的

仕事が続かなかった

具体的

被害的な考えが強まり欠勤が増え、3か月で退職した

統合失調症の障害年金申請では、生活実態が書類に反映されているかどうかが重要です。

関連情報は、症状別障害年金の認定基準もご確認ください。

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よくある質問

Q1. 統合失調症で障害年金2級は受給できますか?

はい、統合失調症で障害年金2級を受給できる可能性はあります。2級は、日常生活に著しい制限があり、家族や支援者の援助・配慮が必要な状態が目安です。幻覚や妄想の有無だけでなく、食事、清潔保持、通院、服薬、対人関係、就労状況などが総合的に審査されます。

Q2. 統合失調症で働いていても障害年金はもらえますか?

はい、働いていても障害年金を受給できる可能性はあります。重要なのは、働いている事実だけではなく、短時間勤務、障害者雇用、欠勤、職場配慮、支援の有無などです。配慮がなければ勤務継続が難しい場合は、その事情を具体的に書類へ反映しましょう。

Q3. 統合失調症の障害年金はいくらですか?

統合失調症の障害年金額は、障害基礎年金か障害厚生年金か、等級、家族構成によって異なります。令和8年度の障害基礎年金は、昭和31年4月2日以後生まれの方で2級が年額847,300円、1級が年額1,059,125円です。

Q4. 家族が代理で相談してもよいですか?

はい、ご家族からの相談も可能です。統合失調症では、ご本人が症状や生活の困難を十分に説明できない場合があります。そのため、家族が受診歴、生活状況、服薬管理、金銭管理、就労状況などを整理して相談することはとても大切です。

Q5. 統合失調症の初診日が分からない場合でも申請できますか?

初診日が分からない場合でも、資料を集めて確認できれば申請できる可能性があります。診察券、紹介状、お薬手帳、入院記録、健康保険の記録、家族のメモなどが手がかりになることがあります。転院が多い方や初診が古い方は、早めに確認しましょう。

Q6. 千代田区・台東区・文京区・秋葉原・神田・上野エリアで統合失調症の障害年金を相談するならどこがよいですか?

千代田区・台東区・文京区・秋葉原・神田・上野エリアで統合失調症の障害年金を相談する場合は、精神疾患の障害年金に詳しい社会保険労務士へ相談する方法があります。秋葉原・神田障害年金申請サポートでは、初回無料相談を行っており、LINE、電話、オンライン、出張相談にも対応しています。

まとめ|統合失調症でも障害年金を受給できる可能性があります

・統合失調症は障害年金の対象になる可能性があります
・審査では診断名ではなく、日常生活や就労への支障が重視されます
・初診日、保険料納付要件、障害状態要件の3つが重要です
・働いていても、職場配慮や勤務状況によっては受給の可能性があります
・ご本人だけでなく、ご家族や支援者が生活実態を整理することも大切です

統合失調症の障害年金申請では、症状の経過や生活実態を正確に書類へ反映することが重要です。ご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

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